ダイエットに良い、太りにくい油としてよく取り上げられる「中鎖脂肪酸」。時々目にするけど、どういう仕組みでダイエットに良いのか、デメリットはないのか、きちんと知っておきたいもの。
この記事では、中鎖脂肪酸とは何か、ほかの油脂とどう違うのかをまずレクチャー。続いて、中鎖脂肪酸を摂ることのメリットとデメリットをご説明します。
記事の最後では、中鎖脂肪酸の効果的な摂り方もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
中鎖脂肪酸を理解し、上手に利用することで、あなたの身体が変わります。もっと好きになれる、自信が持てる、理想の自分に近づきましょう!
美容ライフスタイルアドバイザー
ヒロコ
医療機関に8年間勤務→長年の敏感肌を克服した経験からスキンケアのコツを美容系メディアで情報発信→読者の方から肌悩みの相談を多数いただくようになったことをきっかけにフリーランスブロガーに本格転身→海外移住→3Qsにジョインし美容・ライフスタイル情報発信を担当。昨日より今日の自分をもっと好きになってもらえるとうれしいです。
医療機関に8年間勤務→長年の敏感肌を克服した経験からスキンケアのコツを美容系メディアで情報発信→読者の方から肌悩みの相談...
Contents
中鎖脂肪酸とは素早く燃えて体脂肪になりにくいスーパーオイル
まず、中鎖脂肪酸とはどんな成分なのか、ほかの油脂と何が違うのか、なぜ体脂肪になりにくいのかを知っておきましょう。
中鎖脂肪酸とは?
脂肪酸とは、3大栄養素の一つである「脂肪」の主要な構成要素です。中鎖脂肪酸はそのうちの一種で、 Medium Chain Triglyceride(ミディアム チェーン トリグリセリド、MCT)とも呼ばれます。
中鎖脂肪酸は、ココナッツオイルやパーム核油に多く含まれています。これら天然の油には、いろいろな脂肪酸が含まれます。例えばココナッツオイルの場合は中鎖脂肪酸が60%、ほかはそれ以外の脂肪酸で構成されています。
よく耳にする「MCTオイル」は、これらの油脂から中鎖脂肪酸だけを取り出し、中鎖脂肪酸100%としたものです。
MCTオイルは数十年前から、主に高齢者や未熟児の低栄養対策として医療介護の現場で使われてきました。その働きが解明されるにつれ、アスリートのトレーニングや私たち一般人のダイエットにも活用されています。
中鎖脂肪酸はほかの油脂とどう違う?
脂肪酸には「短鎖脂肪酸」「中鎖脂肪酸」「長鎖脂肪酸」の3種類があります。その違いは、分子の長さ。
脂肪酸は、酸素(O2)と水酸基(OH)に、鎖のようにいくつもの炭素(O)がつながってできています。脂肪酸は、つながる炭素の数によって、
炭素8〜12個…中鎖脂肪酸
炭素14〜22個…長鎖脂肪酸
に分けられています。
キャノーラ油やコーン油、オリーブオイルなどなじみのある油は、大体が長鎖脂肪酸(LCT)。一方、短鎖脂肪酸(SCT)は乳製品等の中にごくわずかに含まれています。
炭素のつながり、つまり鎖が短いほど素早く吸収・分解されてエネルギーとなります。中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸の半分の長さですが、分解速度は4倍速いです。
短鎖脂肪酸はもっと分解が速いものの、自然界にわずかに存在しているため、それだけを集めて摂取することは現実的ではありません。今のところ、中鎖脂肪酸が意識して摂取できる最も短い脂肪酸になります。
中鎖脂肪酸が体脂肪になりにくい仕組みは?
中鎖脂肪酸が体脂肪になりにくい理由は、一般の植物油に含まれる長鎖脂肪酸とは消化吸収の経路が違うためです。
長鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸の消化・吸収プロセスを比べてみると、違いが明らかです。
中鎖脂肪酸(MCT): 腸管~門脈(腸から肝臓への太い静脈)を通って肝臓へ運ばれエネルギーとなる
このように、脂肪は通常とても長いプロセスを経て分解されますが、中鎖脂肪酸はブドウ糖やアミノ酸などの小さな成分と一緒にダイレクトに肝臓に入り代謝されます。
体脂肪として蓄積されることなく、直接すぐにエネルギー源として使われるため、太りにくいというわけです。
中鎖脂肪酸にも3種類ある?
中鎖脂肪酸にも種類があります。中鎖脂肪酸につながる炭素の数は8〜12個ですが、それを細かく分けると
C10:炭素10個(カプリン酸)
C12:炭素12個(ラウリン酸)
となります。
すでにご説明した通り、鎖が短いほどエネルギーに変わるのが速いので、C8のカプリル酸の効率が一番良いです。
中鎖脂肪酸の中で最も長い炭素の鎖を持つC12ラウリン酸は、長鎖脂肪酸に分類されることもあるほど。分解はゆっくりめでダイエットには不向きですが、免疫力を上げたり善玉コレステロールを増やしたりする作用が知られています。
次に、中鎖脂肪酸を摂るとどんなメリットがあるのか見てみましょう。
中鎖脂肪酸を摂取することのメリット
中鎖脂肪酸を摂取することには、多くのメリットがあります。ここでは4つのメリットを取り上げます。
体脂肪が燃えて痩せやすくなる
中鎖脂肪酸は、単に蓄積しにくいというだけではありません。すでに蓄積してしまった体脂肪を燃えやすくする働きも期待できます。
そのカギとなるのは「ケトン体」。脂肪酸から作られるエネルギー源です。
人体がエネルギーとして通常使うのは、糖質(ブドウ糖)です。糖質の経路は即効性があるのですが貯蔵量が少ないため枯渇しやすい傾向があります。
そのため、バックアップとして人体はもう一つのエネルギー産生経路を持っています。それが、体脂肪から作るエネルギーです。
脂肪をエネルギーに変えるため、肝臓で脂肪から「ケトン体」が作られます。このケトン体を糖質の代わりにエネルギーとして使うというわけです。
中鎖脂肪酸では、長鎖脂肪酸に比べて10倍も多くのケトン体が作られることが分かっています。
特に、糖質制限をしながら中鎖脂肪酸を摂ることで、糖質ではなくケトン体をエネルギーとして使うモードに身体を切り替えることができます。
そうなれば、食べた脂質も体内に溜め込まれた脂質も、エネルギーを得るためにどんどん分解されます。太りにくく痩せやすい、燃焼体質に変えていくことが可能です。
糖質とは異なり、ケトン体は空腹感を起こさないエネルギー源です。糖質を摂ると血糖値が急上昇し、それがやがて下降するときに空腹を感じます。中鎖脂肪酸を使ったダイエットでは食欲に悩まされる心配がありません。
中鎖脂肪酸を摂取した群に体重、体脂肪量、皮下脂肪および内臓脂肪の有意な減少が認められた。
ダイエット中の美容をキープできる
ダイエット中はカロリーを抑えるため、脂質の摂取を減らしがち。しかし忘れてはいけないのは、脂質にも重要な役割があること。
例えば、ホルモンや細胞膜、遺伝子の材料としても重要です。また、消化吸収のさいに油分を必要とするビタミンもあります。
そのため、やみくもに脂質を控えても、見た目が老けたりやつれたり、体調を崩したりする原因になりかねません。
大切なのは、カロリーだけにとらわれず、良質の脂質を適量摂ること。中鎖脂肪酸を脂質として摂れば、素早くエネルギーに変わり蓄積することがないので、ダイエットの邪魔になりません。
持久力がつき疲れにくくなる
中鎖脂肪酸には、持久力を高めトレーニングのパフォーマンスを上げてくれる働きもあります。
筋肉のうちでも、瞬発力のある「速筋」のエネルギー源は糖質ですが、持久戦をつかさどる「遅筋」のエネルギー源は脂質です。
そのため、中鎖脂肪酸の摂取によって運動時のスタミナが上がり、運動後のカラダの回復も速くなることが期待できます。
マラソンやトライアスロンをする人にとって理想的なエネルギー源となることはもちろんですが、ダイエットのために有酸素運動や筋トレをしている人にもおすすめ。
よりラクに、より強い運動を、より長時間続けることができるため、ダイエット中のトレーニングもはかどるようになりますよ。
中鎖脂肪酸を摂取した群で、運動中の血中乳酸(運動による疲労物質)の濃度が有意に低下。RPE(自覚的運動強度・本人から見た運動のしんどさ)も低下した(=ラクにできている)。高強度の運動の持続時間が長くなった。
集中力が上がり認知症予防になる
中鎖脂肪酸から作られるケトン体は脳のエネルギー源ともなり、集中力アップや認知症予防に働きかけます。
数年前までは、脳にはブドウ糖というのが常識でしたが、近年ではケトン体も脳の栄養として利用されることが分かってきました。
脳は体の中でもエネルギーをたくさん必要とする臓器です。脳のエネルギー源は、平常時では100%ブドウ糖ですが、絶食時にはケトン体が約60%も利用されることが分かっています。
つまり、脳はブドウ糖が足りなくなるとケトン体を利用します。興味深いことに、この時の方が頭が冴えて集中力が高まります。
また、認知症への効果も期待されています。加齢やアルツハイマーによる認知症では、脳はブドウ糖をうまく利用できなくなり、脳細胞はエネルギー不足から休眠状態になります。
このような状況下で、ブドウ糖の代わりにケトン体が利用できれば、脳の機能低下を止められると考えられます。
実際にアメリカでは、アルツハイマー病患者が中鎖脂肪酸の摂取を続けることで、記憶力の低下が抑制されたという研究報告もあります。
メリットいっぱいの中鎖脂肪酸ですが、デメリットはあるのでしょうか?続く部分で見てみましょう。
中鎖脂肪酸を摂取することのデメリット
中鎖脂肪酸は母乳にも含まれており、赤ちゃんも飲むくらいですので、基本的には安全性の高い成分です。
しかし、摂りすぎるとデメリットが発生することがあります。以下の点に注意しましょう。
過剰摂取による肥満
中鎖脂肪酸は体脂肪として蓄積しにくいとはいえ、油であることに変わりありません。カロリーは1g当たり9kcalと、しっかりありますので要注意です。
痩せる油だからと思って際限なくいろいろなものに加えて摂取し、運動や食事制限もせずにいると、カロリーオーバーでやはり太ってしまいます。
過剰摂取による下痢・腹痛・吐き気
特に中鎖脂肪酸に慣れていない人は、摂りすぎると下痢・腹痛・吐き気など体調を崩す場合があります。
原因としては、ケトン体が急に増えすぎると腹痛を引き起こすこと、普通の油の4倍もの速さで吸収されるため腸内の水分量が増えすぎて下痢を引き起こすことが知られています。
それでは、中鎖脂肪酸の過剰摂取を避け、効果を最大にするための摂取方法をご説明します。
中鎖脂肪酸を摂取する方法・8つのコツ
中鎖脂肪酸を食品から摂る場合、母乳や牛乳、乳製品からわずかに摂ることができます。また、ココナッツオイル、パーム核油にも60%ほど含まれています。
ココナッツオイルが痩せる、身体に良いと人気があるのも、中鎖脂肪酸が摂れるからなんですね。
最近では、中鎖脂肪酸だけを取り出したMCTオイルを使用するのが手軽で一般的。以下に、MCTオイルの効果的な使用法や注意点をお伝えします。
1日の摂取量を把握する
MCTオイルはクセがなく、何にでも合わせやすいですが、見境なく何にでもどんどん加えるのはNG。摂取量を把握し、1日の目安量を守りましょう。
以下の目安量を参考にしてください。
1日当たり=体重(kg)÷2(g)
1日の目安量を一度に摂るのではなく、3回ほどに分けて摂るのがおすすめです。
少量から始める
1日の目安量の範囲内であっても、初めのうちは身体が慣れておらず体調を崩すことがあります。まずは1日小さじ1から始め、体調を見ながら少しずつ増やしていきましょう。
従来のオイルの置き換えとして使う
MCTオイルを今までの食事に単純にプラスするのでは、カロリー過剰になる可能性があります。これを防ぐため、何かと置き換えるようにすると良いです。
例えば、これまで使っていたドレッシングの代わりに、MCTオイルと塩コショウ、レモンをサラダにかける。コーヒーに入れていたミルクと砂糖をやめて、MCTオイルを小さじ1入れるなどです。
摂取のタイミングを意識する
MCTオイルの効果を最大にするタイミングでの摂取を心がけましょう。エネルギーとして消費されやすいタイミングで摂ると良いです。一番のおすすめは朝です。
筋トレや有酸素運動をしている人は、トレーニングの前に摂るのがおすすめです。
もし最大の効果を狙うなら、MCTオイルは3時間で分解されるため、3時間ごとに少量摂ることができます。常に体内にケトン体がある状態を保てます。
逆に要注意なのが、夜の摂取。MCTオイルはエネルギーに変わりやすいとはいえ、エネルギーを使う機会のない就寝中は消費しようがありません。脂肪として蓄積されてしまいます。
どうしても夜にしか摂れない人は、寝る3時間前までとしましょう。日中に糖質を摂りすぎないようにすることも大切です。
加熱調理には使わない
MCTオイルは発煙点が低いため、加熱調理には使えません。一般的な植物油の発煙点が220~250℃なのに対し、MCTオイルでは140~150℃とされています。それ以上になると煙が出て引火します。
そのため、揚げ物や炒め物に使うことはできません。サラダやスムージー、ヨーグルトやプロテインなど冷たいものに混ぜるのがおすすめ。
また、味噌汁やコーヒーなど出来上がったものに混ぜる場合は、熱い食べ物でも問題ありません。
入れる容器に注意する
MCTオイルは分子構造が短いため、一部のプラスチック容器を変形させる性質があります。
注意が必要なのは、ポリスチレンや発泡スチロールなど。具体的には、カップ麺・納豆の容器・コンビニコーヒーの蓋などの、スチレン系樹脂を使用した容器がNGです。
人体への害があるわけではないのですが、やけどなど思わぬ事故を引き起こす危険があるため、容器の材質に注意しましょう。
いろいろな良い油を摂るようにする
MCTオイルに偏りすぎず、バランスよくいろいろな良い油を摂るようにすることも大切です。
MCTオイルは、エネルギーに変わりやすい特性を重視して人工的に精製されたオイルです。オリーブオイルや亜麻仁油、青魚のDHA・EPAなど、ほかの天然の油にもそれぞれ大切な役割があります。
MCTオイル以外の脂質を一切控えるようなことはせず、アボカドや青魚、ナッツなど良質の油が摂れるような食品を食卓に載せることも心がけましょう。
質の良いMCTオイルを選ぶ
MCTオイルにもピンからキリまであります。効果的な摂取のためには、質の良いものを選ぶことも大切です。また、毎日摂るものなので安心・安全のためにも品質をチェックしましょう。
特に以下のポイントに注意して選ぶとよいです。
C8・C10だけが含まれているものを選ぶ
先にご説明した通り、中鎖脂肪酸の中でも炭素の鎖が短いものほど分解が速いです。つまり、 C8(カプリル酸)が一番分解が速く、その次がC10(カプリン酸)です。
MCTオイルという名称でも、C12やC14、またはそれ以上のものが混ざっている商品があります。長鎖脂肪酸が入っているからといって害はありませんが、期待する効果は薄れます。
C8だけのものか、C8+C10のブレンドでC8の比率が5割以上のものを選ぶのがおすすめです。
加工・充填が日本国内で行われているものを選ぶ
MCTオイルの原料となるココナッツやパーム核は、フィリピンやインドネシア、マレーシアなど海外で生産されていることがほとんど。
外国産の原料でも、日本で加工・充填する場合は、日本の基準に合った原料しか輸入できません。また、工場や工程も国内の品質基準で管理されているため安心です。
化学溶剤を使わない製法のものを選ぶ
MCTオイルには、原材料を蒸留する「ナチュラル製法」で作られたものと、より安価に量産できる化学溶剤使用のものがあります。
ナチュラル製法で抽出されたものはパッケージやウェブサイトに明記されています。そうでないものは化学的に抽出されたと考えてよいでしょう。
認証や規格を参考にして選ぶ
良質のMCTオイルを見分けるため、製造過程の品質が基準に達していることを証明する「ISO9001」「GMP認証」「HACCP認証」を参考にするのも一つの方法。
また農薬や化学物質が使われていないものを探している方は「有機JAS規格」「USDAオーガニック」などのオーガニック認証があるものを選ぶとよいです。
仙台勝山館MCTオイル360g <ココナッツベース・中鎖脂肪酸100%>
C8:C10のみを6:4で含んでいる、理想的なMCTオイル。
国際規格ISO9001の工場で、ナチュラルな蒸留製法で丁寧に抽出されています。日本国内で充填されており、品質管理についても安心。
実際に使ってみると、本当に無味無臭で、ベトベトせずサラッとした口当たり。コーヒーや味噌汁、ヨーグルトなど何に入れても違和感ありません。初心者でも抵抗なく使えて、続けられます。
価格 | 2,169円(税込) |
内容量 | 360g |
販売元 | 仙台勝山館 |
原材料 | ココナッツ100% |
原料原産国 | インドネシア |
加工充填国 | 日本 |
私の場合は緩やかですが2カ月で2.5㎏減量、今も継続中です。痩せるからって1日の摂取量増やしすぎるとお腹壊します。お肌もツヤツヤです。
出典:Amazon
スプーン一杯の魔法で脂肪をどんどん燃やそう
中鎖脂肪酸は、一般的な植物油の4倍もの速さで分解されてエネルギーに変わり、体脂肪として蓄積されにくいのが特徴です。
体脂肪になりにくいことに加え、ケトン体を生成して痩せやすい体質にする、スタミナがアップする、脳をしっかり働かせるなどのメリットがあります。一方、過剰摂取による体調不良や肥満などのデメリットには注意が必要です。
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