女性がキャリアを積んでマネジメント職に就くことが少なくない時代になりました。初めて部下や後輩を持つと「どのように接したらよいのかわからない…」「そもそもマネジメントってなに…?」と戸惑う人のために大切な要素をお伝えいたします。
総合キャリアコーディネーター
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仕事に没頭して気付けば社会人も10年目を突破した30代。営業のトップセールス、マネージャー、人材コーディネーターなどを経験し、現在はwebマーケターとして日々奮闘中。仕事の傍らピアノや料理を趣味としています。あとはお酒が大好き!みなさんの悩みを解決できるような情報をお届けします。
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増える女性管理職、人材育成に必要なマネジメント力とは?
「女性管理職比率」という言葉をご存知でしょうか?企業での女性管理職の割合のことを指しており、年々増えてきています。管理職に就いたはいいものの、部下や後輩が一気に増えて何から指導をしたら良いかわからないという人も多いはず。この記事では、実際にわたしがマネジメントをした経験も含めて「後輩のやる気を引き出すマネジメント」について紹介します。
必ず覚えよう!マネジメントの4つの柱
では、実際に「マネジメント」とは何でしょうか。後輩を指導する?育成する?リーダーシップを発揮する?色々なことが当てはまり、何からやれば良いのかわからなくなるかと思います。そこで、まずは必ず抑えておきたい4つのポイントをお伝えします。
目標設定
まずは、後輩の目標設定が鍵になります。これがしっかりしていれば、達成した時に後輩は自身の成長を感じることができやる気にも繋がります。何を目標として設定するのかも大切ですが、次に必要なのが期間の設定です。「いつまでに何を達成しているか」さらには「いつまでにどうなっていたいか」を明確にしていくことがポイントです。
後輩の動機づけ
次に、設定した目標を達成させるための動機づけが必要になります。目標だけがぶら下がってしまう状況になってしまうと、後輩がバラバラになってしまいやる気がない人が出てきてしまいます。もちろん、仕事を頑張る理由は人それぞれ違うので「目標を達成してどうなりたいか」「何のために目標を達成するのか」を一人ずつ話をしましょう。
適切な指導と手助け
ここまで明確になれば、環境を整えることを意識しましょう。例えば、あなたが後輩に仕事を指示、もしくは依頼したとします。その時にどう動くでしょうか?できるまで黙って待っているか、1から10までを丁寧に教えてサポートするのか。2つの方法をお伝えします。
ひとつは、相手によって指示の仕方を変えてみましょう。入社して3年のひとと半年のひとでは理解度や業務レベルが異なります。前者のひとは「求める成果」を伝えるだけでもできるかもしれません。しかし、後者のひとではそれだけでは不十分の可能性があるのでやり方から指示する必要があるでしょう。
もうひとつは、相手から報告がない場合でも必ず進捗はチェックしましょう。「あとは頼んだ!」という仕事の振り方をしてしまうと、成果を見た時に「言ってたことと違う!」ということも出てしまいます。都度確認をして方向性がずれてしまった時にすぐにサポートできる体制を整えておきましょう。
やる気になる環境を整えることは、後輩が目標を達成するかどうかの大きなポイントになります。
評価とフィードバック
最後に、後輩からあがってきた成果をフィードバックが必要です。振った仕事に対してや設定した目標についてなど、出来る限り細かく実施すると良いでしょう。その方が一つひとつのことに後輩は成長を感じることができます。
その時のポイントは、良かったことと悪かったことを両方伝えること、そして「なぜできたのか」「どうすればもっと良かったのか」と次に繋がるフィードバックをして評価をすることです。後輩にさらに成長することができる道を示すこと、成長を感じてもらい仕事にやりがいをもってもらうことはマネジメントの醍醐味のひとつです。
後輩のやる気を引き出す目標設定5ステップ
ここまでで、目標を設定して、達成のためのサポートや指導をしながらフィードバックや評価をしていくという流れを見てきました。もちろんすべて大切なのですが、重要なのは最初の「目標設定」です。これがうまくいかないと、その後の流れがすべて崩れます。
そこで、目標設定の効果的な方法5ステップをわたしの経験も含めてご紹介していきます。
ステップ1.後輩の仕事への意識を確認!
まずは、後輩が仕事にどれだけ熱意を持っているかを確認しましょう。わたしの場合は「仕事をする目的」をヒアリングしました。例えば「自己成長したい」「お金を稼ぎたい」「人脈を増やしたい」など、きっと人によって様々です。そして、目的を実現するには仕事において何を達成したら良いのかという軸を明確にします。
ステップ2.数字の先を一緒に見る
次に、軸が決定したら具体内容と定量的な目標を設定します。何のどの数値目標を達成したら、ステップ1で設定した指標を達成することができるのか、という流れです。
例えば「営業スキルをアップしたい」という後輩には、アポイント獲得件数や売上件数などを目標に、「お金を稼ぎたい」という後輩には、より会社から評価されて昇給の基準となる指標を目標にしてみましょう。
ステップ3.貢献していることを意識させる
具体的な数値を設定する際は「あなたの創る数値が会社に貢献している」ということを知ってもらうとより効果的です。アドラー心理学でも、「人は貢献していると感じている時が幸福である」と言われています。具体的数値を決める時は個人の目標を達成することはもちろん、会社や社会に貢献するであろうとわかる数値にするとよりブラッシュアップされ、やる気にも繋がるはずです。
ステップ4.後輩自身に目標設定させる
ここまでの大枠がしっかりとしてきたら、具体的な目標設定は後輩自身に考えてもらいましょう。ここが大きなポイントです。
目標を自分で設定することにより、責任を持ってもらうためです。人から与えられた目標だと「自分で決めたわけではない」とつい他人事になってしまいがちです。また、チームや組織での目標がある場合はメンバーで話して決定するのも効果的です。
ステップ5.目標を微調整する
そして、後輩から出てきた目標を確認して調整しましょう。その目標を達成することによって、ステップ1で確認した仕事の軸を達成することができるかがポイントになります。それにプラスして、後輩の強みや弱みの傾向を見ながら数値設定を上下すると良いでしょう。あまり目標が低いと達成感がなくなり、逆に目標が高いといつまでも追いつけずやる気がなくなります。人によって能力は違うので、ちょうどよい目標に調整しましょう。
最後に、「達成するために自分(あなた)も精一杯サポートする」としっかり伝えましょう。あなた自身も、後輩の目標達成のために本気で頑張るのです。目標達成のためのサポートをしていくことがマネジメントであり、後輩からのやる気や信頼に繋がります。
後輩のやる気を引き出す接し方8つのポイント
目標は設定して終わりではなく達成してこそ意味があります。それまでの期間、後輩と接していくにあたって重要なポイント8つをお伝えします。
弱みよりも強みを見る
もちろん弱みを克服するようサポートすることも大切ですが、あらためて一人ひとりの強みを見つけて伸ばしていくよう接してみましょう。後輩が気づいていない強みもあるかもしれません。また、長所を伸ばす方が時間はかからないため成果に繋がりやすいのもポイントです。
適宜、全体の流れを見せる
個人の目標を追いかけていると、どうしてもチームや組織全体で何が起きているかわからなくなりがちです。後輩の成果が全体にどれだけ影響を与えているかをしっかりとチェックして伝えていきましょう。実際にわたしは後輩に「あなたの力が必要です」と伝えたことによってやる気を出してもらい、さらに大きな成果を出したということがありました。
後輩の経験や自信に応じた介入度
当然ですが、後輩の経験は一人ひとり違います。“マネジメントの柱”でお話しした「相手によって指示の仕方を変えてみる」ことと似ますが、その後の介入も同様です。中には「そんなこと言われなくてもわかるよ…」と介入することによってやる気をなくす人もいるでしょう。そのために、一人ひとりの能力や特性を知っている必要があります。
日々の会話と報連相
簡単そうでできていないのがコミュニケーション。後輩のことをなるべく多く知るには、日々の何気ない会話から始まり話しやすい雰囲気作りも重要になってきます。わたしは1日1回は出社している全員と話すことを必ず実践していました。進捗確認や困ったことはないかという業務的なことはもちろん、時にはプライベートの話も。そうすることによって「何かあったらすぐに相談・報告する」ことを癖付けていました。
褒めるのも叱るのも「事実」を細かく
後輩を評価するのにベースとなるのは「事実」や「データ」です。例えば「レポートにミスが多い」と言われるよりも「レポートに誤字脱字が5箇所もあった」と言われる方がハッキリしています。このように事実に基づいていれば、叱られたとしても理不尽とは思わず納得感があるはずです。そうすれば次の行動がより良いものに繋がっていくでしょう。
解決策を考え、共有する
問題やミスは起こさないことがベストですがどうしても出てくるもの。そのような時は、必ずチームメンバーに共有して「次同じミスをしないようにするにはどうすれば良いか」を起こした本人はもちろん、全員で考えてみましょう。解決策を考えて実践する、チームワークを強化するチャンスになるかもしれません。
素直な上司でいる
後輩は、上司の行動や言動をとても見ています。その場を取り繕うようなことをすればすぐにバレますし、上司の良い姿勢は真似しようとも思います。例えばいつも笑顔でいる、ミスをした時はきちんと謝るというような当たり前のことが意外とできていないかもしれないので注意してみると良いかもしれません。
常に期待し、信じる
最後に、後輩を信じて接しましょう。今はまだ「ちょっと不安がある…」と思っていても、あなたが「できる!」と信じてサポートしていけば必ず成果が出て必要不可欠な人材になるはずです。根気が必要になることもあるかもしれませんが、匙を投げず必ず最後まで見届けましょう。その結果は、最終的にあなたに返ってきます。
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ぜひ、実践してみてくださいね。