収入や貯蓄が増えつつある30代は、本格的な資産形成を始めるには最適なタイミングです。最近は銀行預金だけでなく、投資を活用する人もたくさんいます。
しかし、これまで投資の経験がない人や、リスクが心配という人は未だにその一歩を踏み出せずにいます。今回は資産運用の1つであるつみたてNISAを解説します。投資の初心者にはぴったりな制度で、この制度を上手く利用することで税金面でのメリットを受けることもできます。
「投資には興味がない」と敬遠していた人こそ、つみたてNISAを始めてみましょう。
金融ライター
Larako
生命保険会社にて7年間勤務後、「保険への抵抗感」をなくしたいという想いから書くことを仕事に。2000人以上のお客様を担当し、そこから得た保険にまつわる知識を広く伝えるべく活動中。一児の母。
生命保険会社にて7年間勤務後、「保険への抵抗感」をなくしたいという想いから書くことを仕事に。2000人以上のお客様を担当し...
NISAってなに?
NISA(ニーサ)を一言で説明すると、「投資などで得た利益が非課税になる制度」です。もちろんこれだけで制度の全体像をイメージすることは難しいのですが、NISAを利用することで税金面でお得になるということは覚えておく必要があります。
銀行に預金という形でお金を預けていることを貯蓄と言うことに対し、投資とは積極的に利益を求めるものを言います。株は投資の代表例と言えます。
この「投資」を行い、仮に利益が出た(儲けた)場合、通常その利益には税金がかかります。この利益に対する税金面でメリットが大きいのがNISAの特徴です。NISAを利用して投資を行う場合と、そうでない場合に分けて以下で詳しく解説します。
NISAを利用せず投資を行う場合
たとえば投資をして、10万円の利益が出たと仮定します。NISAを利用せずに運用していた場合、この10万円に対して約20%の税金が徴収され、受け取ることができるのは8万円になります。
NISAを利用して投資を行う場合
NISAを使って投資を行う場合、利益に税金がかからないため利益である10万円をそのまま受け取ることができます。
このように、本来支払うべき税金が非課税になるため、NISAを活用して投資を行うことで手元に残るお金が多くなります。「利益には税金がかからない」ことはNISAの基本事項と言えます。
NISAには2種類ある
主に税金面でメリットの大きいNISA制度ですが、NISAには一般NISAとつみたてNISAの2種類あります。注意すべきは、その両方を活用することはできず、「どちらか1つのNISAしか使えない」という点です。
それぞれに細かな特徴がありますが、ここでは分かりやすいように以下のようにまとめました。
一般NISAがおすすめのケース
・ある程度まとまった資金で、短期間しっかりと利益を出したい
・株の投資もしてみたい
つみたてNISAがおすすめのケース
・長期間コツコツと運用したい
・少額のお金から始めてみたい
・これまで投資をしたことがない
ある程度まとまった資金があり、比較的短い期間で収益を出したいという場合には一般NISAがおすすめです。逆にわずかなお金をコツコツ、じっくりと投資に充てたいという人はつみたてNISAがおすすめです。
30代女性がつみたてNISAを始めるべき理由
2種類あるNISAですが、30代女性がNISAを始めるときにはつみたてNISAがおすすめです。投資はしたことがないという人でも安心して始められる制度になっているつみたてNISAですが、30代女性におすすめする理由を3つ説明します。
①金融庁が許可した投資先のみ
実際に投資を始める場合、何に投資するかを選ぶのは自分自身です。しかし、投資ビギナーは投資先を選ぶことすら難しいのが実情です。
つみたてNISAを利用して投資を行う場合、投資先は非常に限定されています。しかし、これは金融庁の厳正なる審査をクリアした投資先だけが用意されているためです。コスト(手数料)が低いものが揃っているため、できるだけ多くの利益が出るよう想定した投資先と考えると良いでしょう。
30代女性でも投資は未経験という人も多く、初心者だからこそ金融庁の審査に通った投資先の中から選べるのは安心ですよね。
②決めるのは「何に」「いくら払うか」の2点だけ
つみたてNISAは想像以上にシンプルな制度です。投資を始めるときに設定するのは「何に(投資先)」と「毎月いくら払うのか(購入金額)」の2つだけです。
実際の運用はプロが行うため、この2点を決めてしまえばあとは何もすることはありません。頻繁に売買する必要もないため、忙しい30代女性には最適な投資方法と言えます。
③時間を味方に
つみたてNISAの最大の特徴は、「長期間の運用」という点です。少額でスタートしたとしても、5年10年と投資を続けていくことで利益は多くなります。
運用を始める理由はさまざまですが、老後の資金を準備するために始める人も少なくありません。30代ならセカンドライフまで数十年あるため、コツコツと運用し、長期間にわたって税金が非課税になるメリットを受けることが可能です。
つみたてNISAの仕組みを解説
ここからは実際につみたてNISAの特徴を説明します。「つみたてNISAという単語を聞いたことがある」という人が抱きがちな疑問を通して、つみたてNISAの理解を深めてください。
いくらからスタートできる?利用期間は?
つみたてNISAは最低投資金額を100円としています。一方で投資の限度額は年間40万円ですので、月換算で3.3万円ほどとなります。この範囲であれば、いくら投資に出すのかは自由に設定できます。
毎月の収支を確認した上で、負担のない投資額を設定しましょう。
また、つみたてNISAの非課税枠の利用は最長20年間です。つまり、最長20年間×年間40万円で、最大800万円を投資し、その利益は非課税ということになります。
どうやって始めるの?
証券会社や銀行でつみたてNISA口座を開設する必要があります。実際に店舗に出向いて口座開設手続きを行う方法の他に、最近ではインターネットから口座開設申し込みができる金融機関が増えています。
インターネットを利用する場合、書類の取り寄せが必要です。各金融機関のホームページにアクセスして書類送付を申し込むと、早ければ数日で自宅に届きます。
書類に記入、押印を行うのはもちろんのこと本人確認書類とマイナンバー記載の書類をコピーし同封します。金融機関に返送後は、金融機関と税務署にて審査が行われ、問題がなければ無事に口座が開設となります。
口座開設まで約1ヵ月かかる点は覚えておきましょう。
「つみたてる」とはどういう意味?
つみたてNISAの名前そのものである「つみたて」とは、毎月一定額の投資に充てていくことを指します。毎月自動的に、決まった金額の投資を行い、コツコツと投資金額を増やしていくものです。
そのため、短期の解約はあまりおすすめできません。投資の経験がない人でも気軽に始められるように、少しずつ投資し運用していくことをイメージしてみてください。
途中でお金を引き出せるの?
老後資金の準備を目的として活用するiDeCoと違い、つみたてNISAは途中でお金を引き出すことができます。また、途中で解約してお金を受け取るときには税金はかかりません。
つみたてたお金が原則60歳まで引き出せないiDeCoと比べても、自由度が高いつみたてNISAは短~中期間の資金を貯めるにはぴったりな制度です。結婚資金やマイホーム購入を目的としてつみたてNISAを利用する人もいます。
つみたてNISAを始めるメリット
投資に縁がなかった人でも始められるようにと創設されたつみたてNISAは、税金面以外にもメリットはたくさんあります。ここでは代表的な3つのメリットをお伝えします。
1.わかりやすい
つみたてNISAのメリットは、なんといってもそのわかりやすさにあります。年間40万円、最長20年という上限の中で投資を行います。そして投資を行った結果、手にする利益は非課税というわかりやすい仕組みになっています。
2.貯めながら増やすには最適
30代になると、収支のバランスが把握できるようになり、余裕のある人は「お金を増やす」ことにも興味が出てくる頃です。収入や給与の一部をつみたてNISAに自動的に流れる仕組みを作ることで、半ば強制的に貯蓄のスタイルを作ることができます。
「まとまったお金ができたら投資を始めよう」と考えていた人も、つみたてNISAなら少額からスタートできます。貯めることと増やすことを両立できる点はつみたてNISAの大きなメリットです。
3.投資への興味が湧く
つみたてNISAは、投資先と投資金額を決めてしまえばあとはそのまま放っておいても問題ありません。運用はプロに任せることになりますが、つみたてNISAを始めることで「いまどの程度貯まったのか」「運用実績はどうだろうか」と適宜、確認するようになります。
金融やお金には関心がなかった人でも、投資を通じて自分のお金がどのように変化していくのかと興味が湧き、結果として本格的な投資を始める人もいます。
つみたてNISAを始める前に注意するべき4つのポイント
投資ビギナーでも気軽にスタートできるつみたてNISAですが、始める前には仕組みをしっかりと理解しておく必要があります。特に、投資に付き物の元本割れリスクは避けることができませんので、納得した上で制度を利用するようにしましょう。
1.余った非課税枠の持ち越しができない
先述の通り、つみたてNISAの非課税枠は年間40万円です。たとえば、今年は年間30万円しか投資しなかったとすると、残り10万円分の非課税枠が未使用です。この10万円を翌年にまわして、翌年は合計50万円の非課税枠を使うということはできません。
非課税枠は持ち込せず、毎年40万円が限度になるため、計画的に利用するようにしましょう。
2.元本割れの可能性がある
銀行に預けている預金とは違い、投資にまわしたお金は元本割れのリスクがあります。100万円投資したとき、120万円になることもあれば80万円になることもあるということです。つみたてNISAは、金融庁によってリスクの低い投資先が用意されていますが、運用次第では出したお金を下回ることもあります。
「絶対に手元のお金を減らしたくない」という人には不向きと言えますので、事前によく考えてから利用してください。
3.投資対象は限定されている
金融庁の選んだ投資先しか選ぶことができません。これは初心者にとってはメリットと言えますが、投資経験者やさらにアクティブな運用を期待する人にとっては物足りないこともあるでしょう。
投資の経験者がつみたてNISAを始める際には、魅力的な投資先があるのかどうか予め確認することをおすすめします。
早速つみたてNISAを始めたい人向け!30代女性におすすめの証券会社5選
投資することによって生まれた利益が非課税になる制度であるつみたてNISA。老後まで余裕のある30代で始めておきたいものです。
ここでは30代女性におすすめの証券会社を5つご紹介します。それぞれの会社に特徴があり、どの点を重視するかによって最適な証券会社も異なります。
それぞれの特徴を確認しながら、NISA口座開設にふさわしい証券会社を選んでくださいね。
1.楽天証券
普段の買い物の際に楽天を利用している女性も多く、つみたてNISA口座も楽天証券で開設すると言う人が増えています。つみたての際に「楽天カード」のクレジットカード払いを選択すると、100円ごとに1ポイントが付与されるなど、とにかく楽天ポイントが貯まるのが、楽天証券のメリットです。
30代におすすめの理由
2.SBI証券
つみたてNISAは、運用している間は手数料がかかります。口座管理手数料と言われるものです。長期間のつみたてですから、できるだけ手数料が低い証券会社を選びたいですよね。
SBI証券は手数料の安さに定評があります。運用中のコストが気になるという方はSBI証券がおすすめです。
30代におすすめの理由
3.マネックス証券
20代の頃と比べると、自由になるお金が増える一方、資産運用が気になり始めるのが30代。マネックス証券は「MONEX VISION」という独自の資産設計アドバイスツールを用いて、個々に応じた資産設計をアドバイスしてくれます。現在のポートフォリオを踏まえ、目標とするポートフォリオに近づくためのアドバイスがもらえます。スマホで気軽に利用できるサービスが揃っています。
30代におすすめの理由
4.松井証券
大切なお金を長期間運用するとなると、運用先の証券会社の評判や口コミが気になりますよね。松井証券の歴史は非常に長く、信頼と実績がある証券会社です。証券業界における「問い合わせ窓口格付け」において10年連続、三つ星を獲得しています。困ったときにしっかりとサポートしてくれる体制が整っている松井証券なら、安心してつみたてNISAを始めることができます。
30代におすすめの理由
5.SMBC日興証券
2020年の夏からつみたてNISAの取り扱いを開始したSMBC日興証券は、取り扱い商品も多く、口座管理手数料も無料とあってバランスの良い証券会社と言えます。取り扱いの開始直後ということもあり、2021年春までの期間限定で最大5万円が当たるキャンペーンを行っています。この機会につみたてNISA口座を開設するという人は、ぜひキャンペーンを利用しましょう。
30代におすすめの理由
監修者「Larako」のまとめ